極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 うーん、振り返ってみたら、あのころはわたしの唯一のモテ期だったのかもしれないな。

 セレブリティクイーンは子供のためのイベントが多くない大人向けのクルーズ船だ。
 でも、ショウやサキと一緒にプールで泳いだり、ジョギングトラックで追いかけっこをしたり、大人に教わりながら社交ダンスをしたり。
 幼心に残る、とても楽しい八日間だった。





 ニューヨークからロンドンに帰ってしばらくしてから、我が家を不幸が襲った。
 まだ幼かったわたしには詳しいことは教えられなかったけれど、どうやら父の経営していた会社が傾き、やがて倒産してしまったようなのだ。
 父と母は離婚し、わたしは母とともに日本に帰ってきた。

 母は類縁のいない地方都市に居を定め、わたしを一人で育ててくれた。
 父からは養育費の振り込みはあったけれど、それから一度も会うことはなかった。

 わたしは父が大好きだったから、とても淋しかった。父から見捨てられたのだと思った。母が愛情いっぱいに育ててくれなかったら、いじけていたかもしれない。

「あれから何年経ったんだろう。十五年以上? もっとかなあ……」

 そうしてわたしはようやくここ、セレブリティクイーンの甲板に戻ってきたのだった。
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