極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
「よかった。僕、もうこれで終わりにしようと思ってるんだ。これから一緒にランチに行かない?」

 将生さんが背後を振り返ると、奥にいたバーテンダーがオーケーという仕草をした。そのバーテンダーは白いワイシャツにベストを着て蝶ネクタイをしている。
 それを見て、ふと疑問がわいた。
 あれがたぶん正式なバーテンダーの制服よね? 将生さんはジャケットは着ているけれど、ベストもネクタイもなし。セレブリティクイーンのスタッフとしてはずいぶんカジュアルな格好だ。

「あの……、これから忙しくなるんじゃないの?」

 しかも、ランチを終えた人たちがカフェやバーに寛ぎに来るんじゃないかしら。
 ちょっと不審な目を向けると、

「ばれちゃった?」

 将生さんはいたずらっ子みたいに笑ってウインクしてきた。
 そのウインクが誰かに似ている気がして……。

「あの? 将生さん?」

 さらに問いを重ねようとした、その時。

「――鞠香」

 うしろから声をかけられた。
 少し不機嫌な低い声。

 翔一郎さんだ。
 もうお仕事が終わったのかな?

「何をしているんだ」
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