極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
「将生、わかっていると思うが、俺の花嫁に手を出すなよ」

 おどけた顔の将生さんに向かって、翔一郎さんが思いのほか真剣に言った。

「鞠香にちょっかいを出したら、弟といえども容赦はしないからな」

 はたからはまるで翔一郎さんが将生さんに嫉妬して、牽制しているように見える。
 気を許した弟にまで演技をするの? どうして?

 それとも、これも兄弟のじゃれあいみたいなものなのだろうか?

「ひゅー、怖いな。なんというか、溺愛だね」
「将生は昔から私よりもずっと人当たりがいいからな。鞠香が簡単に心を開きそうだ」
「それなら僕よりもほかの乗客に注意しておきなよ。鞠香さん、初心で慣れてなさそうだし」

 年下の大学生に初心とか言われてしまった……。
 まあ、異性とお付き合いしたことはないし、告白すらしたことがないから、恋愛関係にうといと言われるのはしょうがないかも。

「もちろんだ。事あるごとに、周囲にはアピールするつもりでいるよ」
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