極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 ただわかっているのは、揺れる自分の想いだけ。

「できるだけがんばります」

 翔一郎さんとの約束でわたしが演じなければならない役割。
 彼を愛して、彼に愛されているというこの役は、予想以上に大変かもしれない。

 二人で過ごした時間はまだ短いけれど、とても濃厚だった。
 一緒にいると楽しくて。
 時折のぞく素顔にときめいて。

「期待している」
「はい……」

 翔一郎さんが本当の恋人だったらと、一瞬夢を見てしまう。

 わたしみたいな恋愛初心者には、翔一郎さんは手ごわすぎる相手だったのかもしれない。
 なぜかちょっと胸が絞めつけられて、泣きたいような気分になった。これが切ないという気持ちなのかしら……。
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