スイートスイーツスクランブル
婚約中のお客様
そこに父さんがやってきた。

「今日の予約は8時から浅野様2名様だけだな、未来?」

私は予約票を見る。今日はスロースタートのようだ。ただ、うちはカジュアルフレンチなので、予約なしでくるお客さまも多い。

「合ってるよ、父さん。浅野様にデザートお勧めするね」

「あぁ、よろしく」

父さんは顔をほころばせた。よほど那須くんのデザートに自信があるのだろう。

5:55になり、従業員一同は配置についた。そして、6:00オープン。私は店のカギを開ける。

間もなくやってきたのは、若いカップル。空いてますか、と尋ねてくる。私は、窓際の4人席に案内する。メニューを渡し、

「お決まりの頃、参ります」

と言って、席を離れる。

2人は楽しそうにメニューを見ながら話し合い、うなずいた様子だ。そろそろ頃合いかな?私はテーブルに向かう。

「お決まりですか?」

「グラスワイン2つと、このお勧めディナーコース、2つお願いします」

「今日のメインディッシュは牛フィレ肉の赤ワインソースになりますがよろしいですか?」

「はい。いいよね?」と男性。

「それでお願いします」と女性。

「デザートプレートにお名前をお入れできますが、いかがいたしますか?」

「おねがいします。TASUKUとMINAで」

「素敵ですね、ご夫婦で平日ディナー」

「いえ・・・まだ、婚約中で」

「そうですか、わくわくですね、素敵なご夫婦になられてください」

「ありがとうございます」

「では、失礼します」

メニューを下げて、キッチンに入る。
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