クローバー


そう誰にも。


私の声を最後に、静かになった佐々木。


ダランと体の力を抜きペタン座り込む、そしてボーっと天井を見る。


その光景は異様だ。まるで生気を奪われたよう。


高い高い音だけがこの空間に響く


ギャハハ!!ギャハハ!!
壊れたように笑い出す佐々木。


「あーあ、せっかく上手くいってたのにあんたのせいで台無し。マジで最悪なんだけど。」


佐々木の地声が倉庫の中で響き渡る。


「り、りか?」


恐る恐る東雲が尋ねる。


「ふふふ。流星、あんたってホントばか。私の事疑った仲間を信じるどころか怒鳴り散らして、挙句の果てには捨てちゃうんだもの。ほんと冷たい人間だね。私はやりやすかったからいいけど。」


馬鹿りするように東雲に向けられていた視線は、鋭くなり私の方へと向く。


「ほんと、あんたさえ居なければ!!!
余計な事してんじゃないわよ!!ブス!!ブス!!ブス!!ブス!!」


狂ったように叫ぶ。


佐々木の目がドロドロと闇の色に染っていく。


あの目っ、


あの目はっっ、私は知ってる


佐々木の瞳の中には文乃だけ。


瞳の、中でドロドロ文乃が溶けていく。


ドロドロ


ドロドロ


メノマエニ


「しねっーーー!!!!」


佐々木が懐から取り出したナイフが…



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