背伸びしても届かない〜恋を知った僕は、君の心に堕ちていく〜

縮まらない時間

 一花は中等部の三年に進級し、芽美と智絵里と同じクラスになることが出来た。

 いつもと変わらない生活が始まったのに、同じ校舎に尚政がいないと思うと寂しくなる。

 大学はここから電車で三十分かかる。附属とはいえ、もはや違う学校のようだった。

 最近は尚政も忙しいのか、メールの返事も遅れることが多く、それも一花の寂しさを煽る。

 偶然でも会える距離にいないと気になってしまう。メールだけだと声が聞きたくなる。

 学年が一つ上がったのに、先輩はもっと遠くに行ってしまって、距離は近付くどころか離れてしまった。
< 38 / 136 >

この作品をシェア

pagetop