捨てる旦那あれば拾うホテル王あり~身籠もったら幸せが待っていました~
「あー、えっと。
あはははっ」

なんとなく笑い、逃げるように建物の中に入った。

職場に着くと同時に、速攻で上司の元へ向かう。
先手必勝、だ。

「課長。
和家CEOと結婚することになりました」

「そうか、結婚か。
おめでとう。
お相手は和家CEOか。
……ん?」

温かくお祝いムードだった課長が笑顔のまま固まる。

「……和家CEOと結婚?」

「はい、そうです」

「へぇー、そうなの……か?」

「はい、そうなんです。
よろしくお願いします」

止まったままの彼を置いてさっさと席へ戻った。
妊娠は……まだ報告しなくていいよね?
仕事はいまのところ、どうなるのかわからない。
昨日はほぼ、妊娠を和家さんに知られ、結婚を決めるだけでいっぱいいっぱいだった。
彼からも今日帰ってからあらためて今後の話をしようと言われている。

私と和家CEOの結婚の話は瞬く間に広がり。
< 55 / 118 >

この作品をシェア

pagetop