若頭、今日もお嬢を溺愛する
最悪なデート、最高の夜
「杏ちゃーん!まだですか?」
「ごめん、お待たせ!!」
「可愛い~杏ちゃん、可愛いです!」
「ほんと?」
「はい!」

今日は、卒業祝いとホワイトデーのプレゼント為に雷十と大悟と杏子は三人でショッピングに出かける予定だ。

「まずは、俺が杏にプレゼントして……後は、雷十に楽しませてもらいなさい!!」
大悟が、ポンポンと頭を撫でて杏子に言った。

「うん!」
杏子は微笑み、雷十を見上げた。

行きの車内。
乗り込むと雷十が手を握り、その杏子の手にキスをした。チュッと音がして、今度は雷十の顔が近づいてくる。
「……だ、ダメ…////」
つい俯いてしまう、杏子。

「え?どうしてですか?いつもの流れですよ?」
「パパがいるから、恥ずかしいの////」
「………わかりました。じゃあ、後からさせてください」
そう言って、杏子の額にキスをした雷十だった。

「杏、何が欲しい?」
助手席に座っている大悟が、振り返り声をかけてくる。
「腕時計がいいな!」
「時計?」
「うん!大学につけて行きたいの!」
「ん。わかった!じゃあ…瓜生、とりあえずデパートだな」
「はい。かしこまりました」

デパートに着き、三人は店内に入る。
雷十と指を絡めて握り合い、大悟は反対側にいる。
「え?」
杏子がキョロキョロしながら首を傾げる。
「どうしました?」

「三人だけ?」
「ん?」
「いや、誰もついてこないから」
「杏は嫌いだろ?」
「え?」
「今日は杏ちゃんの為の日です。
だから今日はできる限り、誰もつけないようにしようかと……」
「そう…ありがとう!」

「いらっしゃいませ、鶴来様」
店主が大悟に寄って来る。
「ん。今日は娘に腕時計をお願いしたいんだ」
「はい!かしこまりました!」

一つ一つ手に取り選んでいる杏子を、後ろから眺めている雷十と大悟。
「杏ちゃん、可愛い~!」
「可愛いな」
「俺、時計になりたい」
「………は?」
「だって、杏ちゃんの手首に抱きついて……
はぁ…いいなぁ~」

「雷十、お前…気持ち悪い……」

「よし!これにする!
パパ!少し値段が高いけど、これがいい!」
振り返って言った、杏子。
「ん。了解!」

「フフ…パパ!ありがとう!大切にするね!」
「ん!じゃあ…パパは帰るから!
後は、雷十!よろしく!」
杏子の頭を撫で、雷十の肩をポンポンと軽く叩いて帰った、大悟。

「杏ちゃん、行きましょう!」
雷十が微笑んで、杏子に手を差し出した。
「うん!」
杏子も微笑み、その手を握った。
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