若頭、今日もお嬢を溺愛する
笹美「寝た」
真弓「寝てるね。杏子ちゃん、可愛い!」
大悟「ほんと、可愛い!」

しばらく立っていた四人。
次第に席があき、四人でボックス席に座ることができた。
すぐに杏子が寝てしまう。
大悟の肩に頭を乗せて、寝息をたてている。

笹美「フフ……」
大悟「何?」
笹美「杏子パパ、普通に杏子のこと“可愛い”って言うんですもん。普通は、そう思っててもあまり口に出さないから」

大悟「そうかな?」
真弓「確かにそうかも!」

大悟「うーん。妻がいるみたいな感じがするからかな?」

笹美「え?あ、18歳で亡くなった……」
大悟「うん。ほんと、そっくりなんだよ。
あ、でも!娘に変な感情はないよ!誓って!
俺が愛してるのは、あくまでも妻!
でも、時々……亜子がここにいるって感じがするんだ」

真弓「杏子ちゃんのお母さん、18歳で亡くなったんですか?」
大悟「うん。高校卒業してすぐだった」
真弓「そうなんだ…」
大悟「亜子が中3の時の子。俺は二十歳だった」

真弓「ウチのお母さんと同じだ……」

大悟「そうなの?」
真弓「はい。ウチの両親、中学の先生と生徒なんです。
母が中3になってすぐ、私を妊娠して……父は新任の教師でした」

大悟「そうなんだ。じゃあ…大変な思いをしたんじゃない?」
真弓「はい。駆け落ちしてきたみたいです。
どこに行っても、生徒を妊娠させたって噂が飛んでなかなか教師の仕事できなくて……」

大悟「そっか。
今は?教師してるの?」
真弓「いえ…」
大悟「だったら、俺が紹介しようか?
これでも、顔は広いんだよ?」
真弓「え?でも……」

大悟「とりあえず今日は旅行を楽しんで、また後日真弓ちゃんのお父様に会わせて?」


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大悟「そういえば、昴くんは寂しがらなかった?」

笹美「少し……でも、大丈夫ですよ!」
大悟「そっか。雷十は大変だったから」
笹美「フフ…想像つきます(笑)」
大悟「監禁だって騒いで、大変だったよ(笑)」

真弓「監禁…
監禁は凄いですね……(笑)」


大悟「真弓ちゃんは、彼氏は?」
真弓「いませんよ!そんな、私なんか……」
大悟「えー、可愛いのに!」
真弓「そ、そんな…////」

笹美「真弓、可愛いよ!」
真弓「でも、太ってるし……」

大悟・笹美「そうかなー?」
大悟「少しふくよかだなとは思うけど、こんなの太ってるってうちに入らないよ?」
笹美「ほらね!だから、自信もちな!」

大悟と笹美の笑顔に、微笑み返す真弓だった。

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