カラフルハート


「あ、いや、ごめん。口走った……」


自分の言ったことを言ったあとで理解したのか、焦るように口元を覆う鍛治くんの頬が、ほんのり赤くなっているような気がした。
これだから鍛治くんはずるい。


「天野さん俺と喋るの緊張するって言ってたけどさ、絶対俺のほうが緊張してると思う」

「ど、どういう、緊張…?」

「どういうって……それ聞くの?」

「だって、嫌な緊張だったら悲しい……」


正直な気持ちが口に出てしまうほどそれは悲しい。
一緒にいたら緊張させてしまうほどの何かがあるのだろうか。

鍛治くんにとっての緊張は、私のこの恋するドキドキとは違うだろうから。


「…………」

「鍛治くん?」

「……可愛すぎて」

「え……?」

「天野さんが可愛すぎるから緊張するんだよ。言わなくてもわかるじゃん」

「…っ…!」


鍛治くんは少し拗ねたような口調でそう言った。

だめ……キュンキュンしちゃう……
今すぐ『わ〜〜!』って叫びたい。
今日はきっと、しばらく眠れない。

鍛治くんのことが、好きで好きでしょうがないよ……

それにまた、"可愛い"って……
私のこと、"可愛い"って言ってくれた。

誰に言われるより鍛治くんに言われる『可愛い』が、最強だと思った。


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