カラフルハート
「でも、鍛治くんは家族のために頑張ってる。私は……自分のためにやってるの……
鍛治くんには到底追いつけない。
鍛治くんのほうがずっとずっと、すごい……」
「…………天野さんってほんと、威張ったりしないよね」
「え……?」
「そんな可愛いのに謙虚だし、周りのこと大事にするし」
ナチュラルに可愛いと言われたことにドキッとしながら、鍛治くんの言わんとすることに耳を傾ける。
「今だって心音と遊んでくれて、俺の話聞いてくれて、涙まで流してくれた」
「それは、私が勝手に……」
わがままを言っただけ。勝手に泣いただけで。
「この学校来て、俺が一番目標にしてるの天野さんだよ」
「…っ!?」
もく、ひょう……?
鍛治くんの言葉に目を見開いて、私は鍛治くんを見つめる。
「俺、天野さんに何度も救われてるんだ」
「…うそ……」
「嘘じゃないって。バスで声をかけた日からずっと、天野さんの存在が俺を支えてくれてる」
「どう、して…?」
信じられないのと、嬉しさで目に涙が溜まってくる。
だってそれは私のほうだから。
助けてもらったのは、私のほう。