カラフルハート
「あと鍛治とそこら辺の男子も誘ってさ!」
「…っ!?」
鍛治くんも…?
鍛治くんと海……それは贅沢すぎません…?
でも鍛治くんは家のこともあるし、心音ちゃんや大輝くんのことも見なくちゃいけないだろうし、バイトや勉強も忙しいかもしれない。
ゆっくり遊べる時間はないかもしれない。
もう来年一応受験生だしなあ……
「あっ、ちょうどいいところにいた!おーーい、鍛治〜っ!」
「!?」
ミミちゃんがそう呼んだ先には男子が何人かいて、その中に鍛治くんの姿がある。
鍛治くんは私たちの方に振り返っては「今呼んだ?」と聞き返した。
「ミミちゃん、待って。鍛治くんは色々忙しくて」
「そんなの、聞かなきゃわかんないよっ」
「…っ」
「それに人生一度きりの青春を、忙しいって理由で放り出すのってもったいなくない?
私たちに与えられた時間は無限じゃないんだから」
そう言ってミミちゃんは私の腕を引っ張って、鍛治くん達のいるところに向かっていく。
本当だ。ミミちゃんの言う通りだ。
今しかできないことがある。
鍛治くんが忙しくて行けないかもしれない、じゃなくて…、大切なのは鍛治くんが行きたいかどうか、じゃないか。
「鍛治…とそこら辺の男子、夏休み海行かない?」
人差し指と親指をL字にした片手でポーズするのがミミちゃんらしい。