カラフルハート
「…!?」
鍛治くんは私の手をそっと握った。
本当に繋ぐとは思わなくて目を見開いてしまう。
感触、温度、掌から全て伝わるようで、当たり前に心臓がうるさくなっていく。
「そう言われて我慢できない。俺も男だよ?」
「…っ!!」
その言葉にドクンっと心臓が飛び出るかと思った。
そしてさっき前島くんに言われたことを思い出す。
“あいつ、あぁ見えて意外と男だと思うよ”
どういうことかと思ったけど、攻める時は攻めるってこと…?
「……ひゃっ」
鍛治くんは私の手を繋ぎながら海に入ると、私にパシャッと少量の水をかけた。
暑い日差しの中で浴びる水は、冷たくて気持ちいい。
「ふっ…、天野さん、ほんと可愛い」
「…〜〜…っ」
ずるいなあ鍛治くん。
鍛治くんのほうが断然可愛いんだもん。
今日私は、どれだけ鍛治くんにときめきをもらってるだろう。
「……仕返しだーっ!」
「うわっ」
そう言って今度は私がバシャっと容赦なく鍛治くんに水をぶっかける。
内心もうキュンキュンしすぎて意味がわからなくなっていた。
「ちょ、手加減してよ」
そう言ってクシャッと笑う鍛治くんの、濡れた乱れ髪に悶えてしまったのは言うまでもない。
あぁ、最高の誕生日をありがとう…!と天を仰いだのだった。──