不毛な恋模様〜傷付いた二人は、輝く夜空の下にて熱く結ばれる〜
* * * *

「あぁ……泣くとこんなにスッキリするんだ……」

 波斗は紗世にもたれかかったまま、どこか清々しい気持ちになっていた。

「私もあの時そうだった。先輩がずっと一緒に私の悲しみを分かち合ってくれたでしょ? すごく心強かった」

 紗世の指が波斗の髪を指に絡めて遊び出す。しかし反対の手は、波斗の頬を優しく撫でる。

 なんて心地良いんだろう……人に触られるのってこんなに気持ちがいいって知らなかった。

 波斗は体を起こすと紗世を見つめる。どうしよう……止められない……。

 紗世も波斗を見つめていた。そしてどちらからともなく唇が重なる。二人ともあの日と違い、すぐに貪るようなキスに変わっていく。舌が絡まり合う。

 波斗は紗世を抱き上げ、ベッドに寝かせる。

「紗世ちゃん……俺……あの日以来してないんだ……。紗世ちゃんを傷つけちゃうかもしれないけど、最後までしたい」

 この欲求を抑えるなんて無理だった。

「私だって先輩しか知らない……」

「本当だ。あの時の紗世ちゃんの気持ちがわかる。自棄になってるのか、慰めて欲しいのかわからない……でも……」

 二人の乱れた呼吸が響き渡る。もうこの言葉しかなかった。

「……してもいい?」
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