スパダリ医師の甘々な溺愛事情 〜新妻は蜜月に溶かされる〜
「そ、その……ご迷惑をおかけして申し訳ありません!」

 私はベッドの上で深々と頭を下げる。
 
 突然大声で頭を下げた私にステファニアさんは驚いたようだった。

「そんなの気にしないで。それより体調は大丈夫? 昨日の夜、結構熱出てたから心配だったの。雨の中で突然倒れたからびっくりしちゃったし……あ、あと紗雪の家が分からなかったからうちに連れてきちゃった」

「ほんとすみません。体調は……大丈夫です」

 心配をかけるのも忍びなく、いまだ身体は怠かったのだが大丈夫であると主張した。
 しかしステファニアさんは私の顔をじっくりと眺めたあと、腕を組んで頬を膨らませた。

「……嘘ね。まだ顔が少し赤い。風邪薬持ってくるからそれ飲んでもう少し寝てなさい」

 そう言って無理矢理私をベッドに寝かせてから薬を取ってきてくれた。
 感謝の言葉を伝えてからそれを飲むと、徐々に眠気が襲ってきて。私はそのまま眠りについた。

 次に起きたときはすでに午後5時を回っていた。
 しっかりと体を休めたおかげかすっかり風邪も良くなり、ステファニアさんとお話をした。

 どうやら昨日、私が眠っている最中に啓一郎さんがステファニアさんのところ────もとい熊沢さんの家を訪ねてきたのだが、追い返したと。

「あんなところをずぶ濡れで歩いてるなんて絶対何かあったらと思ったからさ。自宅にも帰ってないところを見ると旦那となんかあったんだろうなって予想ついたから、ワタシが夫に言って追い返したの」

「気を遣っていただいてありがとうございます。啓一郎さん──夫には今は会いたくないので……」
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