スパダリ医師の甘々な溺愛事情 〜新妻は蜜月に溶かされる〜
新婚危機
 その日は一人、都内のショッピングモールで買い物をしに外へ出かけていた。
 ステファニアさんや熊沢さんにお世話になったということで、それお礼を買いに来ていた。

 残念なことに啓一郎さんは数日間出張で関西へと行っているため、一人での買い物となった。
 どうやら新薬の開発関係における学会が催されているようで、啓一郎さんはそれに参加するとのことだった。

 啓一郎さんが家を空けているということは、当然私も一人きり。
 元々忙しい人ではあるのでよく自宅に一人になることは多いが、それとは異なったどことない寂しさを覚えてしまう。

 それは啓一郎さんと心と身体が繋がったあとから、より強く感じるようになった。
 啓一郎さんと初めてを経験した夜以降、彼は夜になると常に求めてくる。
 そして甘すぎて苦しいほどの快楽で限界に達するまで追い詰められるのだ。

 激しい夜を思い出し、昼間から一体何を考えているのだと一人赤面する。
 周囲は多くの客で賑わっており、さすが都内でも有数の広さを誇るショッピングモールだと思った。

 ステファニアさんたちへのお礼の品はどれがいいかなと考えるが、どの品も目移りしてしまって優柔不断な私は決めることが出来ず、数時間ほど色々見て回ったあとようやく決めることが出来た。
 
 学会で出張中の啓一郎さんにも帰ったときに少しでも美味しいものを食べてほしいと思い、私は彼の好物である美味しそうな長期保存可能なローストポークが売っていたため購入する。

 袋を手に下げ、私は帰ろうと出口に足を向けたのだが──そこには嬉しくない偶然があった。

「あー、もしかして蓮見先生の奥さん?」
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