こんなにも愛しているのに〜私はましろ

話そう

それから
病院では、陸が意識をしているのか、よく顔を合わせるようになった。
食堂でも、私を見つけて、一緒のテーブルに着くようにもなった。

「ちゃんとごはん、食べている?」

「それはそのまま、陸に返す。」

「最強のコンビニが、達のマンションの下にあるから。
達とは、遊びに行っていない。

達は、よく遊ぶけど、自分の家にまで、お持ち帰りはしないから、大丈夫。」

聞いていいない情報まで、言ってくれる。

「洗濯はしているの?着替えは?」

「まだ、帰っちゃダメかな。」

情けなさそうな顔をして、情けない声を出して陸が言った。

「家を出て、まだ4日しか経っていないけど。」

「話したい。。。」

「私は今日は日勤だから、通常帰宅。
陸は?」

「このまま準夜勤だから、日付が変わらないうちに帰宅できる。」

「わかった。先に帰っている。」

そう言って、トレイを持って席を立った。
初期研修も終わっていない未熟な二人の、初めての諍い。

夫婦だって未熟な期間ってあると思うけど、それでも縁あって夫婦に
なったのだから、絶対に犯してはいけないルールはあると思う。

食堂を出て途中手塚くんに会った。
なぜだか、私を見て、少し怯えているようだった。

「手塚くん、」

私は呼び止めた。

「はい。」

どういうわけか、直立不動となる。

「陸がお世話になっています。
そのうち手塚くんにも話したいことがあるから、よろしくね。」

それだけを言った。
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