乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します！

「一緒に行きましょう！」

「なにを言ってる！？待て！」

待ちません！
天清さんの妹の手を握り、走り出した。

「月子！？」

天清さんの声が聞こえたけど、今は逃げるしかない。
私のレベルが足りてないから！
ボスか強すぎて、戦いにならない。
逃げるが勝ちと言わんばかりに私は新崎の家の庭にいた遠堂(えんどう)さんの姿を見つけて叫んだ。

「遠堂さんっ！たっ、助けてくださいっ！」

「は？」

「は、は、早く車を出して！」

「天清さんはどこですか？それになぜ詩理(ことり)さんが一緒に！？」

「遠堂っ！」

追い付いてきた天清さんが私と詩理さんを車の後部座席に押し込むと滑り込むように助手席に乗った。

「車を出せ」

「しかし」

「あいつは面白がっていたから大丈夫だ。とにかく、ここに詩理は置いておけない。俺が知らないうちに嫁がされるかもしれないからな」

それを聞いた遠堂さんはすぐに車を出した。

「その話はなくなったのでは？」

「なくなっていなかったらしい」

詩理さんは私の隣で泣いていた。

「ごめんなさい。私のせいでご迷惑をかけて。月子お姉様にまで」