乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
「遠堂。いいのよ。月子お姉様は私が退屈だろうとお考えになられてゲームを持ってきて下さったのだから、そんな言い方はやめて。それにゲームをやる機会が今までなかったので、とても楽しいです」

「そ、そう!?」

「はい」

「新崎の大切なお嬢様が毒されてしまった……」

『ときラブ』をプレイしただけで、ステータス異常毒みたいな扱いはやめてほしい。
失礼にもほどがある。
遠堂さんははぁっとため息をついて、いなくなった。
きっと天清さんが会議だから、様子を見に行ったに違いない。
いなくなって、ホッとした。
まるで口うるさい小姑みたいなんだから。
特に詩理(ことり)さんがいると『あれがダメ、それがダメ』って、ずっと言ってるし。
確かに詩理さんは私と違い、格式高いご令嬢ってかんじだった。
でも『ときラブ』くらいプレイしたって、いいわよね。
永遠不滅の名作だし。

「えっと、詩理さんはどのキャラが好きなんですか?」

さっそく『ときラブ』トークを楽しもうと詩理さんに話しかけると、嬉しそうな顔で詩理さんは答えた。

「この方です。態度は素っ気ないけど、本当は優しくていい人で」

「へぇ、どれどれ」
< 112 / 214 >

この作品をシェア

pagetop