乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
そんな冗談に思わず、にっこり微笑み合ったけど―――

「仕事頑張りますよ」

「起きたくないなー」

けっこう本気だったらしい。
天清さんは名残惜しげにぽすっと胸に顔を埋めた。

「っ―――!!?」

ずさっと体を離した私に驚いて天清さんは腕をつかんだ。

「ええっ!?月子?どうかした?」

「は、は、恥ずかしすぎます!」

「えっー!?」

「明るいですし」

「そんなー」

すすすっと腕から抜け出て離れ、シーツで体を隠した。

「仕事に行きますよ」

「……まあ、少しずつだよね」

ちょっと拗ねたように天清さんは言って、がっくりと枕に顔を伏せていた。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


午前は天清さんも遠堂(えんどう)さんもやることがあったみたいで、出社していたけど、午後からは出張と言っていなくなった。
私はというと、詩理(ことり)さんと二人でフェアの試作に取りかかっていた。

「月子お姉様、気合い入ってますね」

「そ、そう!?」

昨日の私とは違うっていうか、滲み出る色気?
きっと隠そうとしても隠しきれない大人の女性としての魅力が―――
< 130 / 214 >

この作品をシェア

pagetop