乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
第28話 奪う【響子 視点】
「月子は私と戦うことにしたわけね」

不戦勝かと思っていたけど、月子は本気で私に勝てると思っているのかしら?
一度も私に勝ったことがないくせに。
私が働くことになったのは全国に展開するファミレスチェーン、『バニー』だった。
新崎(あらさき)グループの子会社とは言え、ファミレス『バニー』は『楠野屋』と争えるだけの力を持っている。

「さすが新崎ね」

しかも、待遇も悪くない。
高級マンションに運転手付きの送迎、家政婦が家事の全てをやってくれる。
新崎グループの総裁にすれば、息子が納得の上、戻ってくるなら安いと考えたのかもしれない。
私がやることと言えば、企画書を出すくらいで、後は優秀な新崎の社員達がやってくれる。
私の策は―――

「持ってきたんでしょうね?」

「は、はい」

怯えた様子で企画開発部の《《元》》主任の笛木(ふえき)が冴えない顔で私に差し出した。

「ごくろうさま。笛木、好きな物を注文していいわよ」

『バニー』のメニューを笛木に差し出した。
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