乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
高級感のあるメニューに満足して、ゴーサインを出した。
『楠野屋』の社員とは大違い。
私がちょっと提案しただけで、想像以上の物を作ってくるんだから。

「夕食を食べて帰るわ」

ついでに夕飯を食べようと『バニー』の店内に入り、座った。
ファミレスだけあって、家族連れやカップルが多くて居心地が悪い。
『楠野屋』はサラリーマンやOLもいるから、一人でも気にならなかったけど……。
やめておけばよかった―――そう思っていると

「いらっしゃいませ」

店にカップルが入ってきた。
平凡そうな女が幸せそうに笑って、『ありがとうございます。お腹すいてたんです』なんて、男に話しかけながら―――男の方は見覚えがある。
それもそのはず。

公康(きみやす)さん!?」

「響子ちゃん?」

「あっ!もしかして、元奥様ですか?」

「うん、そうなんだ。奇遇だね、こんな所で会うなんて」

「奇遇でもなんでもないわよ。今、私は新崎グループで『バニー』を任されているの。それで、勉強のために食事をね」
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