乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
天清さんは救急箱から体温計を持ってくると私に渡した。

「月子。計ってみて」

「は、はい」

有無を言わせぬその圧力に頷いて体温計を使うと、38℃きっかり。
これくらいなら、眠れば余裕で―――

「月子、解熱剤飲む?」

「いえ。必要ないです」

「スポーツドリンク買ってくる!」

「水とお茶があるので、それで十分です」

天清さんが悲しそうな顔をした。

「あの、本当に眠れば大丈夫ですから」

熱があっても今は幸せすぎて具合が悪いなんて少しも思えなかった。
今日があまりにも楽しかったから―――私にとって夢みたいな一日だった。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「またパーティーなの……?おうちでクリスマスパーティーがいい……」

よそいきのワンピースに着替え、頭にリボンをつけ、迎えに来た車に乗った。
幼い頃から父の仕事の関係でパーティーに招待されることが多く、人見知りな私は人目につかないよう隅っこに隠れているか、人の少ない場所を探し、終わるまで静かに待っていた。
今日も同じ。
隅の方の椅子に座り、オレンジジュースを飲んでいた。

「響子!だめよ!騒がないの!」
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