あやかし戦記 ネバーランドの子どもたち
「そっか……」

「マジかよ」

イヅナが話し終わった後、ヴィンセントは優しくイヅナの頭を撫で、レオナードは口をパクパクさせている。イヅナは無理やり笑顔を作って言った。

「大丈夫よ、きっと。ツヤさんもいるし、私から「行きます」って言ったのよ。絶対に大丈夫よ!絶対、絶対に……」

覚悟を決めたとはいえ、怖いものは怖い。だがそれを言えば、きっと潜入などできなくなる。まるで呪文のようにイヅナは「大丈夫」と繰り返した。すると、ふわりと体が温かくなり、二人分の体重がのしかかる。

「……俺ら、絶対に助けに行くからな!だから何が何でも生きろよ」

「イヅナの大きな勇気と優しさ、ちゃんと伝わったよ。僕たちは離れていても一緒だよ。救出するその日まで、ずっとイヅナのことを想ってるから」

二人の体温、そして優しさにイヅナの目の前がぼやける。小さく「ありがとう」と呟くと、その瞳から涙が零れ落ちた。



そして、イヅナはお金持ちのお嬢様という設定でツヤに攫われることになり、ギルベルトが用意したワンピースに着替え、縛られて麻袋の中に詰められ、農園に運ばれたのだった。
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