籠の中の鳥は今宵も熱い寵愛を受ける【完結】

 和穂さんの溺愛は想像以上だ。
溺愛という表現が正しいのかはわからないが、少なくとも彼の愛を毎日感じることは出来ている。

籍を入れてから寝室が一緒になった。一緒というか私の部屋のベッドを捨てたため強制的に彼と一緒に寝ることになった。

『結婚したんだから、はすみの部屋のベッドはいらないんじゃない?』

そう言われたら、何も言えない。出会いから結婚まで彼のペースに結果として流されているように思った。
ちなみに和穂さん、ではなく呼び捨てで呼んでほしいと言われているが未だになかなか彼の名前を呼び捨てで呼ぶことが出来ない。


会社ではすぐに私たちの噂が広がった。

―専務と秘書課の女性が結婚した

たったそれだけのことなのだが…まるで芸能人同士の結婚のように噂が広がっていた。
確かに和穂さんが結婚となると相手が誰なのかというのは気になるのかもしれない。


「おはよ~今日も騒がしいね」
「おはよう。籍入れた途端これだよ?なんだか芸能人にでもなったみたい」
「でも藤沢千佳に関してはよかったじゃん。あの子あれ以来おとなしくなったよ」
「そうなんだ。確かに…」

ちょうど夏子と廊下でばったり会い他愛のない会話をしていた。
ちなみに一番に結婚の報告をしたのは夏子だった。夏子はとても喜んでくれてお似合いだと言ってくれたがお似合いかどうかは疑問符が浮かぶ。




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