秘密と家族
白状
「やめ…て……」

そこに琉梨の、小さな声が病室に響いた。

「琉梨?」

「華…秀く…やめ……て…これ以上…ママ…を傷つけ…な、いで…?」

琉梨がゆっくり起き上がろうとする。

「琉梨!!!?」
梨央が華秀を突き飛ばし、琉梨の元へ行く。

「ママ…」
「琉梨!!ごめんね!!こんなとこ……」
「マ……」
そこで、パタンと倒れた。


「梨━━━━」
「出ていって!!!」
「梨央?」
「言ったでしょ!!?
琉梨だけは、傷つけないで!!!」

「ごめん……」
そう呟き、華秀は病室を出ようとドアノブに手を掛けた。

そこに、秀彦・雨里・一誠・琉雨の四人が入ってきた。


「今の話、どうゆうこと?」
琉雨が華秀に、静かに言った。

「琉雨」
「この病室の壁、薄いよね?
“全部”聞いてたよ、華秀」

「何の話?」
「は?
家族って、何の事?
血が繋がったって?
誰と誰が?
華秀、梨央ママに何したの?」

「琉雨、もうやめろ!」
秀彦が琉雨を止める。

「華秀、出ていって!」
雨里が、鋭く睨み言った。



「琉梨は、梨央と華秀の子なんだろ?」
そこに、一誠が言い放った。


「え……」
誰もが、驚愕していた。

梨央はもちろん、秀彦、雨里、華秀………
そして、琉雨も━━━━━━



琉梨の病室を出て、六人は面会室に向かった。

「一誠、知ってた…の…?」

「梨央、俺のことバカにしてるの?」
「え?」
「梨央が華秀のこと好きだったの、知ってたよ。
でもその時、華秀…中学生だった。
出逢ったの俺の方が先だったのに、あっという間に華秀が拐ってった。
梨央がまだ中学生のガキに日に日に惚れてくのが、手に取るようにわかった。
………………悔しかったんだ。
悔しくて、嫉妬して……だから、梨央の親父に取り入って梨央を手に入れたんだよ。
でもあの時…………
華秀が梨央を犯したあの時……
俺は華秀を、責めることができなかった。
元々は、俺が華秀から梨央を奪ったから。
だから……琉梨が生まれたのは、俺への天罰だと思ってる」

「一誠、知ってたのか…」
「うん。
秀彦、雨里ちゃん、ごめんね。
二人が、俺の為に隠してくれてたのことも知ってたんだ。ごめん…」

「琉梨が、華秀の……?」
琉雨が動揺している。

「琉雨、ごめんな。
俺は、お前が思ってるようなカッコいい男じゃないんだよ?」
「ずっと、知ってたの?」
「ううん。ついさっき知った。
でも、ずっと思ってた。
琉梨を見てると、なんか不思議な感覚になってたから。それに梨央の妊娠を聞いて、もしかしたらって!」


「そう…なんだ…」

「琉雨。
俺を捨てろ!」

「え……華…秀…?」
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