僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~

天罰が下る時















俺は、マンションの玄関で立ち尽くしていた。




悪い予感はしていたんだ。



だって・・・二人の靴が、並んでいたから。



俺が出張の間、それはありえないことだった。


大概は、紫音が俺の旧アパートで過ごして、穂香は実家に帰るかここのマンションにいるのが普通だった。

でも、二人の靴が、仲良く並んでいるんだ。


俺は・・・今日帰るって知らせてない。

本当は、三日後に帰るはずだったんだ。婆さんのことがあったから、会社の人が気を利かせてくれた。

そのまま知らせないで帰ったら、聞きたくない”音”を聞く羽目になってしまった。

キスのようなリップ音はさっきから止まない。
きっと口じゃないところにキスしてるんだろうって、想像がついた。


右手には紫音が大好きな甘いスィーツが入った紙袋。
その紙袋には、最近オープンした店のロゴが入ってる。



「しおん君…キスして…いっぱいして‥ああ、、凄くいい・・」

チュっ…—――…クチュ…、ジュル…

「ん、やべ、もういい?我慢できない」

「うん、いっぱい、して、いっぱい…しおんくんのこれで、いっぱいして欲しいの‥」

「おねだり上手だな。かわいいよ・・・。あ、やっぱ凄くいい…。ほのかの中…、凄くあったけぇ…溶けそう…」

「わたしも・・・。ずっと・・・ずっと・・紫音くんとこうしたかった…、あ・・ん!」


左手には、漬物好きなほのにワサビ風味の野沢菜漬けや、特選みその詰め合わせ。

その他にも穂香が好きそうなオーガニックなコスメも買ってきた。




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