僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~

越えて欲しくない壁


ハルがクローゼットの方見てる。

なんでわかるんだ?って思ったけど、俺が無意識に見ているからだ。


「今つき合ってる奴いんの?」


その質問に戸惑う。
それを聞いてくるって意味を先読みしたら不安になる。


「いるよ」
なんとなく、嘘をついた。

「ハルは?」
「なんで言わなきゃいけないんだよ」
「聞かれたら聞き返すだろ?普通」
「俺モテるから」
「あ、っそう」


結局真意は見せないか
応えることのできない俺が、聞いていいことではないよな。


「明日よ、天気よかったらキャッチボールしに行こうぜ」
「キャッチボール?あ――わりぃ、グローブ無くした」

「なくしてねーよ、お前の俺の家にある」
「そうなの?」

「また行くからって置いてったろ?」

「ん―――?いつ?」

「確か、俺が高校入る前」

「よく覚えてんね」

「覚えてるよ、その後は”どこぞの男”と帰ってくるようになったから、”また”は封印されたけど」

「……そうか」

どこぞの男はケイの事だ。

「女らしくしろよ、彼氏可哀そうだろ?」

「・・・まあ、最低限の努力はする」

心にもないことを言う。


「俺だったら、そのままでもいいけどな」

未だにそんなこと、言ってくれるんだ。
でも、こいつに期待を持たせちゃいけない

「面食いだからね、私」

「ハッ、そうかよ!悪かったな、イケメンじゃなくてよ」


その後も少し離れていた間の世間話をして、ハルは夜中に帰って行った。

”そのままでもいい”か


俺がもし、今相当弱ってたらフラフラとハルに甘えちゃうな。

でも、最低限でも”女らしく”変えれない俺はその言葉にふら付いちゃいけないんだ。

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