客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜
「ねぇ、良かったら今夜一緒にご飯とかどう?」
「今日は女子会が……明日はいかがですか?」
「うん、じゃあ明日。今度は連絡先を聞いてもいい?」
「うふふ、いいですよ。六年越しでようやく交換ですね」
「俺はあの時に交換したかったけどね」
二葉の胸がツキんと痛む。彼の顔を見ることが出来ない。
これから何かが始まるだろうか……。
おかしいな。とりあえず仕事を頑張ると決めたじゃない。彼は友達。そう割り切るのがちょうどいい。ちょうどいいはずなのに……おかしいな。私は彼をずっと求めていたような気がするの。
「じゃあ行こうか」
「はい」
ドアに向かった匠の背中を見ながら、二葉は触れたくなる気持ちをぎゅっと抑え込んだ。