客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜
電車に揺られること五駅、二葉は電車を降りると改札へ向かう。すると改札の外で、スーツのままの匠が笑顔で手を振っていた。
二葉は小走りで匠の元に近寄る。
「ごめんなさい。かなり待った?」
「大丈夫。一度帰って荷物置いてきたし。夕飯どうする? 食べても良いし、テイクアウトとか出前でも良いけど」
「……あの……せっかくだから匠さんのお家でゆっくりしたいな〜……なんて……」
二葉が言うと、匠は嬉しそうに彼女のカバンを持ち、手を繋いだ。
「じゃあテイクアウトにしよう。そこのデリがなかなか美味しいんだ。お酒はうちにあるし」
匠が立ち寄ったのはデリ専門のお店で、海外の雑貨屋のような佇まいが可愛いらしい。慣れた様子で注文をして商品を受け取ると、二人は歩き出した。