客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜
二葉はかなり緊張していた。何しろ男の人が運転する車に乗るのは初めてだったのだ。
慎吾は運転免許証はあっても、車がなかった。
「二葉ちゃん、カチコチじゃない?」
匠に指摘され、二葉は更に緊張する。
「まぁそんなこと言ってる間に着いちゃうんだけどね。秩父ってこの近さがいいよね」
「匠さんは秩父以外も行かれたことがあるんですか?」
「まぁぼちぼちね。はい、着いたよ」
境内までの道を歩きながら、二葉は大きく息を吸う。緑の香りが胸いっぱいに広がり、どこか懐かしい気持ちになった。
「……私、今日突然思い立って来ちゃったんです。ちょっと嫌なことがあって、癒しの旅に出たくなっちゃった」
「……癒しか……確かに俺もそうかな。現実から逃げ出したくなってさ、思い浮かんだのがここだった」
匠は話しながら空を見上げる。先ほどの寂しそうな表情の理由がわかった気がした。
彼も私と同じで、何か嫌なことかあって、その気持ちを紛らわすために今ここに居るのだろう。
「匠さんはいつからお寺が好きなんですか?」
「中学の時かな。修学旅行で京都に行った時に、仏像の魅力にハマったんだよね。二葉ちゃんは?」
「私は……中学の時に家族で鎌倉に行った時に、お寺と御朱印の魅力に取り憑かれてしまって……」
「渋い中学生だね」
「匠さんも人のこと言えませんよ」
匠の車でお寺を順番に回りながら、他愛もない話に花を咲かす。きっと私、友達といるよりも笑顔で話しているかもしれない。
「匠さんが1番好きな観音様は?」
「うーん……やっぱり千手観音様かなぁ。無限の救済力で助けてほしいよ」
「……相当困ってるのね」
「まぁそんなとこ。二葉ちゃんは?」
「私は如意輪観音様。あの柔らかい身のこなしがたまらなく好き」
「なるほど。美術的視点なんだね」
夕方になり、納経所も閉まる時間になる。十六番札所の西光寺を後にして車に乗り込むと、二人は黙り込む。
慎吾は運転免許証はあっても、車がなかった。
「二葉ちゃん、カチコチじゃない?」
匠に指摘され、二葉は更に緊張する。
「まぁそんなこと言ってる間に着いちゃうんだけどね。秩父ってこの近さがいいよね」
「匠さんは秩父以外も行かれたことがあるんですか?」
「まぁぼちぼちね。はい、着いたよ」
境内までの道を歩きながら、二葉は大きく息を吸う。緑の香りが胸いっぱいに広がり、どこか懐かしい気持ちになった。
「……私、今日突然思い立って来ちゃったんです。ちょっと嫌なことがあって、癒しの旅に出たくなっちゃった」
「……癒しか……確かに俺もそうかな。現実から逃げ出したくなってさ、思い浮かんだのがここだった」
匠は話しながら空を見上げる。先ほどの寂しそうな表情の理由がわかった気がした。
彼も私と同じで、何か嫌なことかあって、その気持ちを紛らわすために今ここに居るのだろう。
「匠さんはいつからお寺が好きなんですか?」
「中学の時かな。修学旅行で京都に行った時に、仏像の魅力にハマったんだよね。二葉ちゃんは?」
「私は……中学の時に家族で鎌倉に行った時に、お寺と御朱印の魅力に取り憑かれてしまって……」
「渋い中学生だね」
「匠さんも人のこと言えませんよ」
匠の車でお寺を順番に回りながら、他愛もない話に花を咲かす。きっと私、友達といるよりも笑顔で話しているかもしれない。
「匠さんが1番好きな観音様は?」
「うーん……やっぱり千手観音様かなぁ。無限の救済力で助けてほしいよ」
「……相当困ってるのね」
「まぁそんなとこ。二葉ちゃんは?」
「私は如意輪観音様。あの柔らかい身のこなしがたまらなく好き」
「なるほど。美術的視点なんだね」
夕方になり、納経所も閉まる時間になる。十六番札所の西光寺を後にして車に乗り込むと、二人は黙り込む。