だから今度は、私がきみを救う番
迎えに来たよ







帰り道は、行きよりもずっと強い風が吹いていた。



自転車を漕ぐたびに向かい風が吹いてきて、私の行く手を阻む。

空はどんよりとしたねずみ色、河川敷の水面も暗い色をしている。



さっき原くんが、『台風が来たら亜季に会えないからヤダ』と言ってくれたのを思い出して、思わず笑みがこぼれた。



あれから三十分くらいずっと抱きしめ合っていて、原くんが眠りかけたから『こらこら』と肩を叩いて起こした。

その時にはもう元の原くんに戻っていて、「ありがとう」とそれだけ言ってくれた。



気がついたら四時を過ぎていたので、今日はそのまま帰ることにした。

五時にはおばあちゃんが帰ってくるからだ。

宿題はだいぶ進められたし、本来の目的は達成できたと思う。


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