だから今度は、私がきみを救う番
二年一組での終礼が終わると、原くんは真っ直ぐに私の席へと向かってきた。

あさがお五組と違って、このクラスには三十六人の生徒がぎっしり詰まっている。

いつも真っ先に帰宅する原くんの、いつもと違う行動に、周囲の視線が集まるのを感じた。



「高屋」



原くんの声が、いつもよりワントーン高い音で響く。

ゆらめく金色の髪と、柔らかい笑顔。

一年生の時と同じその顔に、周囲でざわめきが起こる。



無理もない。

私だって彼のこんな顔見るの、本当に久しぶりなんだから。



「いっしょかーえろっ」



まるで小学生のように高らかに、歌うように誘う原くん。



「はっ、はいっ」



ガタリと席を立つと、原くんは私の手をとった。



「えっ、何!? どういうこと!?」

「高屋さんと原、付き合ってんの!?」



周りの声が痛いほどに突き刺さってきて、頭の奥がぐらぐらする。

身体が熱い。

きっと、耳まで真っ赤になってるんだろうな、って思った。

全身の体温が一か所に集まって、爆発してしまいそうだ。



原くんは周りのことなんて気にもせずに、私の右手を握って教室の出入口の方へと誘導してくる。


結局下駄箱で靴を履くまで手は繋がれたままで、靴を履いたあと、また手を握られた。
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