だから今度は、私がきみを救う番
花火とキス2







花火が終わると、人々は様々な方向へと散らばっていった。

ぎゅうぎゅう詰めだった河川敷の階段も、ぽつりぽつりと人が減っていく。

土手道は人でごった返していて、人間の渋滞が出来ていた。



「高屋さ、帰りもうちょっと遅くなっても大丈夫?」



少し周りが静かになってきた頃、原くんがそう言った。

お姉ちゃんが夜中に帰ってくることもあるから、うちの門限はすっかり緩くなってしまている。

今日は花火大会なので、ちょっと遅くなっても大丈夫だろう。



「うん」

「俺、高屋に夢中で花火あんま見てなかったからさ。花火やろうよ」

「花火?」

「前に言ったじゃん? ロケット花火、びゅーんってやろうって」



初めて彼といっしょに帰った日、寄り道をした時のことを思い出す。

そうだった。

きみは確かにそう言った。

瞳をきらきら輝かせて、『楽しいことしよう』って。



「うん」

「やった。先輩んちにチャリ置いてるからさ。海の方行こう」


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