京都若旦那の初恋事情〜四年ですっかり拗らせてしまったようです〜

2. 逡巡


(戻ろう)
 再びホールへ戻るべきかと躊躇うも、やはり朔埜が気になる。
(少し、様子を見るだけだから……)

 そう思い立ち振り返った矢先、すぐ目の前に人壁が出来ている事に気づき驚いた。

「わあっ」
「あっ、すみません。驚かせてしまって」

 びくりと後ろに飛びすさり、改めて顔を上げる。

「……あ」
「こんにちは」

 謝るような顔で挨拶を受ける。
 そこには朔埜の弟、四ノ宮 昂良が佇んでいた。
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