スノー&ドロップス

プロローグ


 人は誰でも、仮面の下に牙を隠して生きている。
 

 手首に見えない鎖をつけて、(なまり)のため息を吐く。
 優しい鉄の鳥籠(とりかご)から、私は逃れることが出来ない。
 

 光を知らない人形は、ずっとずっと闇深く。
 狂おしいほど愛しい君は、今日も僕の隣で眠る。


 運命に(あらが)おうとしても、決して氷は溶かせない。
 掴む君の指先を、雪に変えてしまうのが怖いから。



 ーー僕らの望みは、ただ幸せになりたいだけ。
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