黒子ちゃんは今日も八重樫君に溺愛されて困ってます〜御曹司バージョン〜
あの時、聞いておけば良かったのかもしれない。私を好きな理由。

私は八重樫君に手を引かれ、プラネタリウムに移動した。

プラネタリウムなんて中学生、いや小学生以来だ。でもあの時のプラネタリウムとはなんだか雰囲気が違った。
久しぶりのプラネタリウムは私の常識を覆した。

最初はいつものように星を紹介していたが、いつの間にか宇宙の神秘に迫るドキュメンタリー映画のような映像が流れ始めた。
まるで上を向いて観る映画のようだ。

上映が終ると二人で目を合わせてため息をついていた。

「やばい、めちゃくちゃ楽しかった」

「本当だね! 私プラネタリウムを馬鹿にしてたよ」

「俺も……」

2人で一緒に笑った。

「また来ようね」

八重樫君は私に向かってそう言ってくれた。
また2人で来たいと私も心から思った。

その後、八重樫君は売店で売っている宇宙食を全てを買っていた。
これからしばらくうちの食卓に宇宙食が顔を出すようになる事は言うまでもない。

家に帰り、お風呂が沸くと、珍しく八重樫君が今日の入浴剤を決めると言い出し、箱から何かを探し始め暫くするとあったと言って笑顔で渡してきた。

「バラ?」

パッケージを見て私は八重樫君に尋ねた。何故バラの香りを探していたのか知りたかった。

「宇宙と言えばNASA。NASAと言えばアメリカ。アメリカも国花はないけど、それに近いのがバラ。今日一日宇宙に浸る!」と八重樫君は楽しそうに言った。

こじつけのような気もするが、それで八重樫君が私の趣味を一緒に楽しんでくれるなら私も嬉しい。
そして、こんな幸せな時には薔薇の香りで幸せを倍増したい。
私達は薔薇の香りに包まれて深い眠りについた。
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