黒子ちゃんは今日も八重樫君に溺愛されて困ってます〜御曹司バージョン〜
今日は通常のメニューよりも品数も量も少なかった。
八重樫君と一緒に行ってちゃんとコースを楽しみたいと思っていた。

「俺は行かない」

あ、私は何かを間違えてしまっている。
どこで間違った？　やっぱり部長と食事した事？

「そっか。ごめん。部長は怪我のお詫びとして誘ってくれたみたいで、断ったんだけど、待ってるって言われて……」

「双葉は待ってるって言われたら誰とでもご飯行くんだ」

「違うよ。部長だったから」

「そうだよな。双葉と部長は社内で噂になるくらい仲がいいもんな」

あ、言葉を間違えた。

しかも八重樫君はあの噂を知っている。

話がどう伝わっているのか分からないが、少なくとも八重樫君がいい気がしないような伝わり方だということは分かった。

「違う。そういう意味じゃなくて」

「お風呂入ってくる」

私の話も聞かずに八重樫君はお風呂に入った。

いつもより長く、お風呂から上がっても疲れたからと言ってすぐに寝た。

いつもは抱きしめてくれるのに、そっぽを向いて寝ている。

怒っているのは分かるがどうしたらいいのかが分からない。

私は、なすすべなく大人しく眠りについた。

そういえば持ち帰ったデザートは冷蔵庫に入ったままだ。
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