虹色 TAKE OFF !! 〜エリートパイロットは幼馴染み〜

 田村部長は微かに表情を硬くすると、高見澤さんの背中越しに私に声をかけた。

「誰かね、早川くん。この男性は」

「おい、こっちを見ろよ田村さん。今話してるのは俺だぜ」

 高見澤さんはそう言って、私たちの壁になってくれている。

「あんたのした事は、立派にセクハラかつパワハラだ。あんたが篠原さんを呼び出した時間は交信記録に残ってるし、ホテルのチェックイン時間も確認してある。深夜、部下のOLをホテルに呼び出して、まさか個別の業務指導するつもりでしたとか言うつもりじゃないだろうな」

「誤解を与えてしまったなら謝るよ、篠原くん」

 田村部長はあくまで高見澤さんを無視して、私たちに声をかけてくる。

「済まなかった。あの日は会議が長引いて、私も退社するのが遅かったんだ。その後、疲れを覚えて、部屋を取って休んでいた。そうしたら少し、寝入ってしまってね……。時間を確認せずにきみに連絡してしまったのは、本当に申し訳なく思っている。許して欲しい」 

 温顔を崩そうとしない田村部長を、高見澤さんは、

「嘘つけ。手取り足取り腰取り、夜のお遊戯がしたかったんだろ、田村さん」

 そう言って挑発した。

「なるほど、御社は女子社員との裸の付き合いを重んじる社風のようだ。まあ好きにすればいいが、この話を週刊誌にでもリークすれば、入社が内定している新卒女子の8割は、明日のうちに内定辞退を申し出るだろうな。あんた、人事部に恨まれるぜ」
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