虹色 TAKE OFF !! 〜エリートパイロットは幼馴染み〜

 私は薄暗いリビングで、夜景の煌めきに淡く浮かび上がる、九条くんを見つめた。

 細いデニムに大きめのシャツをゆったり着崩して、はだけた胸元から、鍛えられた胸の筋肉がのぞいている。
 長い手脚をソファーに投げ出すようにして、九条くんは外を眺めていた。
 
 私は下着の上に、白いナイトガウンを羽織っただけの姿。
 自分の心臓の音が、耳の奥で響いていた。

 と、その時、  

「久しぶりだよな、こんなの」

 ふいに、九条くんが口を開いた。

「よくこんなふうに、二人並んで腰掛けて、空を眺めていたっけ」

 私を見る彼の目が、あの頃と少しも変わらない、優しい色をしていた。

 そうだね、九条くん。
 これだけお金持ちになっても、あなたは少しも変わらない。
 優しくて、暖かで、ちょっとわんぱくで……。 

 頑張って、夢を叶えたんだね。
 あなたのお父さんと同じ、パイロットになったんだね。

 でも……どうして?
 なんでそんなに、寂しそうに笑うの……?

 想いが巡って、胸が苦しくて、言葉が何も出てこない。

 涙が溢れて、頬を伝って、胸に落ちた。
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