虹色 TAKE OFF !! 〜エリートパイロットは幼馴染み〜

 お互いにシャワーを浴びると、湯のほてりと石鹸の匂いを漂わせたまま、私たちは白いシーツに素肌をさらして、柔らかなベッドに身体を投げ出した。

 子供が無心に砂場を掘り返すように、私たちはお互いのデリケートな部分を、探り合い、愛し合った。

 実は、まだ九条くんとは結ばれていない。

 私はまだ、行為の最中に田村部長の影に苛まれてしまう。私が部長に刻みつけられた傷は、それほど深かった。
 
 でも、それよりも、九条くんの愛の方が優った。

「理恵、愛してるよ」

 九条くんは繰り返し囁いて、こわばった私の心と身体をほぐしてくれる。

「大丈夫。どんな理恵も、愛しいから」

 固く閉じてしまいそうな私を、九条くんは丹念に愛して、優しく導いてくれる。

 私は、九条くんに愛されて少しづつ開いていく、小さな花のようだった。

 九条くんは、私にまとわりつく黒い影に、気付いている。
 でもそれを知った上で、私の闇を払うように、暖かく優しく、愛してくれる。

 私の素敵な、まあくん。
 愛さずになんて、いられない。
< 70 / 235 >

この作品をシェア

pagetop