Gentle rain
心と体
「ええ。有難うございます、森川社長。」

その時の俺は、欲しい物が手に入った事で、少し、いや大分調子に乗っていたのかもしれない。

「なんだか嬉しそうですね。」

秘書の女の子にまで、知られるくらいの上機嫌。

「何かいい事でもあったんですか?」

「ああ。」


俺は密かに含み笑い。

どうしても、彼女との事を誰かに言いふらしたかった。


「彼女と…うまくいったんだ。」

「彼女?彼女って……」

秘書の子は、何か面白い物を聞いたかのように、スタスタと俺の近くに近づいた。

「あの、落し物を届けてくれた彼女ですか?」

「そう。」

「まあ!」

信じられないという表情で、秘書の子は口元を手で隠した。

「それはおめでとうございます!」

「ありがとう。」

俺と秘書の子は、わけのわからない握手を交わす。
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