Gentle rain
そして現れたのは、髪はボサボサで、髭も生やしっぱなしの一人のオジサンだった。

「美雨!」

「……敦弥さん!?」

私は驚きを隠せなかった。

ヨレヨレのシャツ。

何日も着替えていないのか、首元の襟は少し汚れていた。

顔もなんだかしばらく会わない間に、老けたような気がした。

「まさか、ここに来てくれるなんて、思ってもみなかった。」


でもその笑顔は変わっていなかった。

「ハハハっ!驚くよな。こんな姿になっちゃって……」

恥ずかしそうに、ボサボサの髪を頭で掻いている。

「もう少しで仕事に目処が立ちそうなんだ。そうしたら美雨に会いに行くよ。」

私は顔を両手で押さえた。

「って言うか、その前に風呂か!」


何一つ変わっていない。

仕事に一途で、真っ直ぐな敦弥さんが、そこにいた。

私がいるばっかりに、菜摘さんとの結婚を断って。

そのせいで、理不尽に会社の倒産の間際に立たされて。
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