Gentle rain
「美雨!どこにいるんだ!!返事をしろ!!!」

雨に濡れて、見たこともない程に取り乱しながら、敦弥さんは私を探していた。

「どうして……!さっきも俺の事を愛してるって言ったのに!どうしていなくなったり……するんだよ!!」

そう叫んだきり、敦弥さんはその場に倒れ込んでしまった。

たまらなくなって、木の影から身を乗り出した。

「敦弥さ……」

だけど、そんな敦弥さんに駆け寄ったのは、私ではなくて菜摘さんだった。

二人の様子を見て、私はまた木の影に隠れた。






「美雨…美雨……」

敦弥さんの私の呼ぶ声が、耳について離れない。

しばらく経って、敦弥さんは菜摘さんに抱えられるようにして、ビルの中に入っていった。








敦弥さんの熱い情熱が、私の身体を支配する。

もう無理なのに。

もう敦弥さんに抱かれることはないのに。









ねえ、振り続く雨よ。

このままずっと、優しくこの身を濡らすのなら、
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