Gentle rain
軽くラベルを見せて、コルクを開け、ウェイターはまず一口分だけ、ワインをグラスに注いだ。

俺がグラスに手をかける事を待っている彼女は、おそらくテイスティングの事を知っているのだろう。

緊張を悟られないように彼女を見ながら、ワインの香りを嗅ぎ、一口飲んでみる。


ああ、これだ。

これならあまり飲み慣れていない彼女でも、飲めそうな気がする。


「お願いします。」

「かしこまりました。」

ウェイターは今度は、彼女のグラスにも、ワインを注ぐ。

二人で乾杯をして、俺は彼女の一口目は、何気なく見つめた。

ゴクンと喉が動いて、彼女の口元が上がる。


「飲める?」

「はい。」

少しだけ、肩が軽くなった。

「じゃあ、今度は料理だ。」

俺は彼女に、メニュー表を渡した。

「何が食べたい?」

「そうですね……」
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