甘いキスをわたしに堕として。
「朱里?」


顔を見ようとしてみるも、制されてしまう。



むうっと頬を膨らませれば、さらに顔を背けられる。




「…っ無自覚かよ」



なんて、呟いてることはわたしの耳には届かない。




あのあと朱里とは「おやすみ」をして、就寝した。




お兄ちゃんが過ごしてた場所、そして人達に出会えて本当によかったー…。



もうこれで会うことはないって思うと寂しいなぁ。




この時のわたしはまだ何も知らなかった。





なにが本当で、なにが嘘か。


見極めることができなかった。





まんまと手の平の上で転がされているなんて…。




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