再会した幼馴染に溺愛されています。

俺は屋上に上がると深呼吸をする。
もっと深く物事を見つめる必要があるな。


「さっき言ってた事だが……どういうわけか説明してくれないか。」


「えー……滝口くんて三年生の彼女がいるんでしょ?だから水野さんにそれを教えてやったわけ。」


何を言ってるんだこいつは?
もう少し話を聞かないと……。


「この前街に行ったら滝口くんが彼女と歩いてるの見て……写真撮って水野さんに見せてやったの。水野さんて勘違いしてるみたいだから。」


「……そういうことか。」


俺は怒りに身を任せたいのをグッと堪えて至って冷静に務めている。


俺が撒いた種だしここでこいつを責めたところで変わるわけでもない。


全身に嫌な汗が流れる。


つまりアキは俺と美咲が付き合ってると誤解してるということか……俺は全ての点が繋がると同時に絶望する。


「斉藤……俺が一緒に歩いてた奴は美咲っていう俺の従姉妹なんだよ。」


本当は言いたくない事だけどこうなってはやむを得ないだろう。
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