再会した幼馴染に溺愛されています。
今日の作業はおしゃべりばかりで凄く時間がかかった。
思わず時計を見ると夜の7時を回っていて私と冬馬は慌てて学校を後にした。
「今日はアキの事たくさん知れたし有意義な時間だったな〜」
「おかげでこんなに遅くなっちゃったけどね……」
本当は嬉しいんだ。
こんな時間まで2人きりでいれるなんて。
「俺のせいで遅くなったんだから近くまで送っていくよ」
「いいよ、逆方向なんだから無理しないでよ」
「うるせえな、行くぞ」
冬馬はそう言うと半ば強引に私の右手を掴んだ。
暖かさを感じる。
男の子の手ってこんなにゴツゴツして大っきいんだ……。
すごく安心するけど。
……これって恋人つなぎってやつだよね?
誰かに見られたらどうしよう。
「ん、もしかして嫌か?」
「ううん。……そんな事ない」
そしてどちらともなく沈黙が続く。
冬馬も恥ずかしいのかな……?
薄暗くなっている帰り道にはひぐらしの声だけが響いている。
会話がなくても夏らしくて好きな雰囲気だよ。