再会した幼馴染に溺愛されています。
「……まあな。気分転換に買ってみただけなんだけどさ」
「ヒュー!何だかんだ滝口もキュンキュンしたいお年頃かあー!?」
読書を邪魔された挙句に鼻につく言葉を言われて、俺は舌打ちをしてやりたい気持ちをグッと堪える。
こいつは確か井出だっけか?
常に女子の取り巻きをしていて機嫌を取りながらしっぽを振って歩く犬みたいなやつ。
どのみちこいつも嫌いなタイプだな。
「滝口〜、読書なんかしてねえで俺らと話そうぜ!」
「悪いな、お前たちみたいに集まって話したりするのは苦手なんだよ」
俺は苛立ちを抑えられずに本を乱雑に畳むと井出に返事をする。
「滝口くんってやっぱクールでカッコいい〜一匹狼ってやつ?」
「お前そんな見た目なのに根暗みたいな事言うなよ!俺らとツルもうぜ」
女たちの甲高く囃し立てる声と馴れ馴れしい井出に俺の苛立ちは募っていく。
「……気が向いたらな」
俺の険悪な態度に気付いたアキと離れていながらも目が合う。
心配させてはいけねーな、俺は冷静さを取り戻してこいつらを軽くあしらった。